コインランドリーのコンセントで、パソコンを勝手に充電していた男性が逮捕されるという事件があった。スマートフォンの利用も増えて、カフェのコンセントなどで充電している人も見かけるが、そんな行為も犯罪に問われてしまうのだろうか。
出典元:livedoorNEWS(外部リンク)
あまり知られていませんが、電気を勝手に使うと捕まる可能性があります。
今回は電気の窃盗罪をわかりやすく解説します。

喫茶店で使ったけど捕まらなかったよ。

お店がお客の利用を想定して置いているなら、違法性はないよ。
想定していなくても、お店が警察に報告すること自体少なそうだけど。

気を付けた方がいいのかな。。
電気の利用は泥棒になるのか?

泥棒とは窃盗罪の要件を満たした人
泥棒というのは物を盗む人です。
刑法上で一番近い罪は窃盗罪です。
窃盗罪とは?
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
出典:刑事訴訟法235条
刑法上の要件をみてみると、財物を窃取(盗んだ)ものとあります。
ここで問題となるのが、電気は財物かということです。
電気は財物とみなす
この章の罪については、電気は、財物とみなす。
出典:刑事訴訟法245条
刑法では電気は財物とみなすしています。
ですので電気泥棒は窃盗罪の要件を満たします。
そもそも財物の範囲は?
電気は別途みなすとしていますが、財物の範囲はどうなるでしょうか。
学説上では対立があります。
管理可能性説
財物は有体物(個体、液体、気体)に限られないとし、管理可能な物なら財物とする説です。
判例ではこの立場をとっています。

財物の概念が広すぎるって批判もあるよ。
有体物説
あくまで財物は有体物に限るとし、245条は例外規定だとする説です。
「財物とみなす」というのは、財物でないことを刑法で認めていると考えます。

例外規定のないものが保護されないとの批判があるよ。
情報は財物になるの?
現代においては情報は電気よりも重要なものです。
しかし刑法に情報を規定する条項はありません。
判例をみるに窃盗罪とはならない
会社の情報を自分の情報媒体に保存すれば、窃盗罪の要件は満たさないようです。
会社の情報媒体ごと盗むと窃盗罪となります。
不正競争防止法で多少は守られる
この法律で「営業秘密」とみなされるものは保護されます。
ただしまだまだ弱いといえるでしょう。
窃盗罪は誰の判断で捕まる?

窃盗罪は相対的親告罪
被害にあった人が告訴しないと罪に問われない親告罪というものがあります。
窃盗罪は被害者と犯人との間に関係性があった時だけ親告罪になります。
相対的親告罪とは?
父親のものを盗んだとして、これを警察が見かけたら逮捕されるでしょうか。
このように一定の関係のある場合には、窃盗は親告罪、つまり父親が告訴しない限りは罪には問われません。
1 配偶者、直系血族又は同居の親族との間で第235条の罪、第235条の2の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は、その刑を免除する。
2 前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
3 前2項の規定は、親族でない共犯については、適用しない。
出典:刑事訴訟法244条
コインランドリーの店主と関係ないなら非親告罪
ほとんどの場合は、お店の電気を使ったら非親告罪で警察に捕まる可能性があります。
まとめ
喫茶店でもコンセントを使うときは、一言入れると安全ですね。
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