民法では、初めに総則を置き、各分野に共通する内容を宣言しています。
- 個人主義・平等原理
- 公共の福祉による制限
- 信義誠実の原則
- 権利濫用の禁止
上記は私人の権利を考えるうえで、基本になるルールです。
今回はこれらの基礎ルールについて解説します。
私人の権利と民法
これから何度も出てくる内容だから、何となくで大丈夫だよ
個人主義・平等原則とは?
民法は個人の自由、平等を基礎にしていることを宣言しています。
次の条文を見てください。
この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。
民法2条
民法全体の解釈の指針として、このように打ち出しています。
公共の福祉による制限とは?
民法では基本原則の元、個人の権利・自由を保障しています。
権利能力平等、私的自治、所有権絶対の原則だったよね。
そのうえで、次の条文を見てください。
私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
民法1条1項
民法は、このように宣言することで、社会の共通利益や国家自体の利益との関係で、個人の権利・自由が制約される可能性を認めています。
信義誠実の原則とは?
信義誠実の原則は1条2項で定められています。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
「信義則」って略すよ。
互いに相手の信頼を裏切ったらダメ
社会の常識の範囲で行動しようね
そういった「当たり前」と思われる行動をするべきだと宣言してます。
非常にあいまいなものです。
次のような場合に具体化されます。
権利の行使及び義務の履行の際
条文通りです。
矛盾行為禁止(禁反言)の原則
自分が先に言ったことと矛盾する言い分は許されない、という意味です。
子供がご飯食べたいと泣き叫ぶので、仕方なくご飯を作ってあげると「いらない」と言われたらどう思いますか?
そんな状況です。
禁反言(エストッペル)の原則ともいわれます。
クリーン・ハンズの法則
法を尊重している人だけが「法を尊重しなさい」と言える、と言う意味です。
時速120kmで青信号を突っ切ったとします。
その際、信号無視した人をはねてしまいました。
これどっちも悪いってなりますよね。(車の方がかなり分が悪いけど)
互いに過失がある状態なので、一方的に追及できないってわけです。
手が汚れていない人だけが、法の保護をしっかりと受けられるのです。
権利濫用の禁止とは?
正当な権利行使であっても、その行使が濫用だと評価される場合があります。
例えば、庭にごみを放置したとします。
自分の家の庭なので、別に何をおいてもいいはずです。
でも隣に住む人はどう思うでしょうか?
このように、他者に多大な損害を与えてしまう、社会的概念から逸脱してしまっている行為を許さないとするものが、権利濫用の禁止です。
ちなみに権利の「行使」を禁止しているのであって、権利の帰属は変わらないよ。
権利の濫用したからといって、所有権がなくなると蚊じゃないよ。
おわりに
民法を学んでいくと、総則を見返さないとわからないところがかなりあります。
完ぺきに覚える必要はないですが、なんとく理解しておきましょう。
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