【毎日国語】先(さき)んずれば人を制す『史記』

毎日ひとつのことわざや、四字熟語を覚えれば、一年で365個覚えられるわけです。
公務員試験ぐらいならそれだけ知ってれば大丈夫です。

今日は、『史記』より

先(さき)んずれば人を制す

こちらを解説します。

目次
広告

つまりは先手必勝

このことわざの意味はずばり先手必勝です。

人よりも先に物事を行えば、有利な立場に立つことができる

中国の歴史書『史記』の一文が語源です。

『史記』とは中国の長編歴史本

作者は前漢(ぜんかん)時代(紀元前206年 – 8年)の
司馬遷(しばせん)という人。
紀伝体(人をメインにした歴史書、伝記の詰め合わせみたいな感じ)で書かれた。

中国の伝説の王、黄帝(こうてい)から前漢の武帝までの約2000年以上を描いた名作。

「先んずれば人を制す、後るれば則ち人の制する所と為る」

先んずれば人を制す、後るれば則ち人の制する所と為る」という言葉が語源です。
先にやれば勝てる、遅れたら他の人にやられる、というような感じですね。

これは『史記』の項羽本記に出てくる言葉です。


当時、中華統一をなした秦(しん)に対する反乱が盛んに起きていました。

そんな中、殷通(いんとう)という人物が、知人の項梁(こうりょう)に対して、挙兵を持ちかけました。
この時に「先んずれば人を制す。後るれば則ち人の制する所と為る」というセリフが出てきます。

殷頭は「桓楚(かんそ)にも挙兵に加わってほしい」と言います。
豪傑である桓楚を味方に引き入れようと画策していたのです。

すると、項梁は「桓楚の居場所は甥の項羽(こうう)だけが知っている」と言い、項羽を呼びました。

項羽は項梁の意図を組みとり、殷通たちを斬殺し、項梁がその地位を力づくて奪い取ることを成功させます。
その後、項梁は挙兵し、桓楚も配下に加わり秦との戦争を始めるのでした。

項羽とは?

項籍(こうせき)
姓は項、名は籍、字が羽のため、一般的には項羽(こうう)と呼ばれる。

秦(キングダムの主人公の国)を滅した戦争の中心人物。
かつて戦国の七雄ともよばれ、秦に滅ぼされた楚の武家出身。

秦滅亡後の覇権を、漢の劉邦と争い敗北(楚漢戦争)

ちなみにこの敗戦から生まれた言葉が『四面楚歌』です。

四面楚歌

劉邦の漢軍は度重なる戦いを経てついに項羽の籠る砦を包囲します。(垓下の戦い)
そして毎晩、劉邦軍は項羽の故郷である楚の歌を歌いました。

故郷の者までもがお前の敵だという項羽へのメッセージです。
つまり、もう助けもない、周り全てが敵ということです。

項羽はこれに涙し、その後、敗走中に敵となった同郷の者に出会い、自決を選びました。

類義語

先手必勝、早い者勝ち、機先を制する、先手万手などなど。
“The early bird gets the worm.”
(早起きの鳥はミミズを捕まえられる)
“First come, first served.”
(最初に来たものが最初に食事にありつける)

広告

コメント

コメントする

目次