『チ。ー地球の運動についてー』漫画の感想と評価|歴史に基づかない歴史漫画が面白い!

■タイトル:『チ。ー地球の運動についてー』
■ジャンル:ヒストリカルファンタジー
■作者:魚豊
■国:日本
■掲載誌:ビッグコミックスピリッツ
■おすすめ度:★★★★★★★★★★(10)
■禁じられた研究に命をかける探求者たちの物語。

目次
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あらすじ

「ひゃくえむ。」で100m走にすべてを捧げる人々を描いた超新星・魚豊が舞台を青年誌に移して新たに描くのは、「禁じられた真理」を探求する人々を描いた一大叙事詩。舞台は15世紀のヨーロッパ。異端思想がガンガン火あぶりに処せられていた時代。主人公の神童・ラファウは飛び級で入学する予定の大学において、当時一番重要とされていた神学の専攻を皆に期待されていた。しかしある日、ラファウの元に現れた謎の男が研究していたのは異端思想ド真ン中のある「真理」だった———!!

https://bigcomicbros.net/work/35171/
著:魚豊
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2022年4月に完結

2020年9月14日が始まった今作は、2022年4月18日に完結の予定です。(早いっ)
巻数は全8巻になる予定です。
8巻の発売は6月ぐらいでしょう。

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感想

なんだこれ。

本作は地動説と天動説の転換期を描いた似非ヒストリカル漫画です。
念のため言いますが、まったくもって史実には沿ってません。
登場人物も架空、国も、宗教も、すべての描写がフィクションです。
現実にあったように描かれていますがすべてが嘘です。

きっと騙された気持ちになることでしょう。
それくらいにリアリティに富んだ作品です。

まだ読んでない人は騙されたと思って、とりあえず1巻だけ読んでみてください。
1巻には本作の魅力が十二分に詰まってます。
続きが気にならなければそれはそれでいいと思います。
続きが気になる人はきっと全巻読んでしまうでしょう。

物語の始まりは99%シンプルな構成です。
12歳の天才少年ラファウに天文学を志すきっかけを与えるというだけの物語です。
少年漫画のようなお決まりの展開、少年の将来を想像させる演出、しかし待っていたのは想像していなかった結末。
彼の選択が文字通り世界を変えます。

異端とはなにか

本作のメインテーマでもある異端ですが、そもそも異端とはなんなのでしょうか。
作中、地動説を研究したものは軒並みひどい拷問を受けたのちに火刑、絞首刑などむごい方法で命を奪われていきます。

史実の中世ヨーロッパ世界に異端審問や拷問、火刑が存在したことは事実ですが、地動説を唱える天文学者がメインターゲットというのは間違いです。(ガリレオ・ガリレイも死刑になってませんし、そもそもこんなに異端で死刑は多くない)
キリスト教の教え、特にイエスの存在についての相異が、苛烈な異端狩りの本丸でした。

4世紀、ローマ帝国がキリスト教化して以来、ヨーロッパの権力の源泉には神がいました。
いわゆる王権神授説です。
時のローマ皇帝はキリスト教を利用するつもりだったようですが、結果的に帝国は滅び、キリストの教えとそのシステムだけが生き残りました。

思想の違いはいつだって変革につながります。
政治システムの根幹となったキリストの存在に解釈の違いなどあっては為政者たちが困るのです。

考え方の違いは混乱と争いを生みます。
違った解釈をするものは存在すら許すわけにはいかない、それが異端の始まりなのです。(皮肉なことにローマ帝国中期ではキリスト教が異端(政治的)であり迫害の対象でした。もちろんここまで苛烈ではないですが)
本作はではその多くを地動説が引き受けています。
地球が宇宙の中心であることが、教えの根幹であるとされているのです。

そしてバトンは渡された

多くの偶然と、一切れの必然によって少年の意思は引き継がれていきます。

こんなことに命をかけるなんて非合理で愚かな行為。
意思を引き継いだ人たちは口を揃えます。

ラファウ自身も自分を馬鹿の筆頭になってしまったと嘆きます。
そしてその後ろには幾人もの馬鹿筆頭たちが連なっていきます。

「硬貨を数枚捧げれば、パンを得られる。
税を捧げれば、権利を得られる。
労働を捧げれば、報酬を得られる。
なら一体何を捧げれば、この世の全てを知れる―?」

ホモサピエンスが地球の王となった理由として、想像の産物を他者と事実として共有できたからだと言われています。
どれだけ不確かであって未知のものであっても、ともに信じて協力しあって繋いで成し遂げることができたのです。

不合理で愚かで望み薄な試みでも、先にある真理はきっと美しい。
だから命を懸けられる。
こんなにも人間味のある物語はないでしょう。

おわり

キリスト教(作中C教)的な要素があるため、映画化かドラマ化などはちょっと難しいのかなと思いますが
とんでもなく面白かったので、なんとかNetflixでドラマにしてほしいですね。

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ごり子

読んでくれてありがとう!

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