民法の学習をしていると何度も「無効」「取り消し」の言葉が出てきます。
普段使う分にはあまり意識せずに使ってますよね。
でも法律上には明確な違いがあります。
今回はこの2つの違いを解説します。
「無効」は初めから効力がないもの。
「取り消し」は有効ではあるけど、さかのぼって効力をなかったものとすること。
無効と取り消しの違い
無効は、初めから契約の効力が生じません。
そのため、双方がそれでいいと思っていても、契約は履行されないのです。
一方、取消しは、取消されるまでは有効な契約として扱われます。
取消されて初めて、締結時にさかのぼって無効となります。
つまり、取消権のある方が取り消さなければ契約は履行されるのです。
無効となる場合
意思無能力者が行った契約(泥酔した人や10歳未満の子供)
公序良俗に違反する契約(愛人契約など)
虚偽表示による契約
取り消せる場合
制限行為能力者の行った契約(未成年者や被補助人など)
詐欺や脅迫、錯誤による契約など
第三者に対抗できるか?
無効と取り消しの違いに、第三者に対する対抗要件の違いがあります。
対抗とは、法律上なんらかの権利を主張することをいいます。
無効の場合は誰にでも主張できる
無効の場合は、誰に対して主張できます。
そもそも、初めから効力がないので当たり前とも言えます。
例外として、心裡留保や虚偽表示の場合は善意の第三者に対抗できない場合があります。
取り消しは善意の第三者に対抗できないことが多い
取り消しは、有効な契約をさかのぼって無効にするものです。
そのため、絶対的に保障されるわけではないです。
例えば、AがBに騙されて土地を売ってしまったとします。
その土地をBは何も知らない(善意)Cに売りつけます。
Aは土地を失ってかわいそうではありますが、そんなことはCにとって関係のないことで、Cはただ土地を買っただけです。
このときAはCに対して、取り消しによる、所有権の主張することができないのです。
詐欺は多少は本人の落ち度もあったとされるから、保護もちょっと弱いね。
これが脅迫だと、善意の第三者にも主張ができるよ。
脅迫に落ち度なんてないからね!
1 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知っていたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前2項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意の第三者に対抗することができない。
民法96条
取り消しは追認できる
無効は初めから効力がありません。
お互いがこれでいいといっても関係ありません。
しかし、取り消しとは有効なものをさかのぼって効力を失わせる作用をいいます。
つまり、取り消さなくてもいいのです。
でもこのままだと、相手方はいつ取り消されるのか不安でいっぱいになってしまいます。
非常に不安定でかわいそうです。
なので、取り消せる契約を確定させることができます。
これを追認(ついにん)といいます。
ちなみに、取り消しの原因が解消されない限りは追認できないよ。(親が追認とかでもいい)
未成年者は成年になってから、詐欺の被害者は騙されたことに気づいてから、みたいな感じだよ。
期限の違い
無効には期限がありません。
初めから効力がないため、期限もなにもないのです。
取り消しには有効期限がある
次の条文を見てください。
取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。
民法126条
例えば、未成年が成人になって5年たつと取り消せないように、原因が解消されてから5年か、単純に20年たつと取り消せなくなります。
読んでくれてありがとう!
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