本記事では
二院制について
衆議院と参議院の関係
衆議院の優先事項
以上について解説します。
国会の組織体系
日本は二院制(両院制)
国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
憲法第42条
42条にあるように、国会は、衆議院と参議院の2つの議院による合議体で構成されています。
この制度を二院制と呼びます。
一院制は議院が1つだけの制度だよ。
中国や韓国は一院制だよ。
衆議院と参議院の違い
定数 | 任期 | 解散 | 被選挙権 | |
衆議院 | 465 | 4年 | あり | 満25歳以上 |
参議院 | 248 | 6年(3年ごとに半数改選) | なし | 満30歳以上 |
二つある意義
- 2回議論することで、案件を慎重に審理できる
- 選出方法を変えることで、多様な民意を反映できる
- 議会の専制を抑止できる
- 議院と政府との衝突を緩和できる
意義はあるといっても形式的になりつつあると、批判もされているよ
衆議院と参議院の関係
両院同時活動の原則
同時活動の原則とは、両院は同時に開会し、同時に閉会するということです。
衆議院は開会、参議院は閉会中ということはありません。
例外:緊急集会
衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
憲法第54条第2項
参議院の緊急集会はこの原則の例外です。
両院独立活動の原則
衆議院が法案を審議しているとき、参議院はそれとは別の法案を審議することを認める原則です。
一緒に審議しなくてもいいということです。
例外:両議院協議会
例外として、両議院協議会があります。
両議院協議会は、衆議院と参議院の意思が異なった場合に、その調整をする話合いの場です。
衆議院の優越
当然ですが、両議院の意思が必ず一致するわけではありません。
憲法では国政の停滞を防ぐために、衆議院の優先を採用しています。
なぜ衆議院?
任期が短く、解散制度のある衆議院の方が、より国民意思に近いとされているからです。
優先される事項
- 法律の議決(59条)
- 予算の議決(60条)
- 予算先議権(60条1項)
- 条約の承認(61条)
- 内閣総理大臣の指名(67条)
衆議院のみの権能
内閣不信任決議権
内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職しなければならない。
憲法第69条
参議院の問責決議には69条の効果はないよ。
予算先議権
予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
憲法第60条1項
予算の議決は必ず衆議院から行わないといけません。
衆議院の優先事項
衆議院の再議決(任意的両議院協議会)
2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なった議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。
憲法第59条2項,3項
3 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを求めることを妨げない。
両議院協議会はどっちでもいいです。(任意的両議院協議会)
次の条文を見てください。
4 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つった後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。
第59条第4項
参議院で60日以上議決されないときは、否決とみなすことができます。
つまり59条2項の衆議院による再可決が可能となります。
もちろんみなさなくてもいいです。
予算の議決(必要的両議院協議会)
予算について、参議院で衆議院と異なった議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
必ず両議院協議会を開かないといけません。(必要的両議院協議会)
30日以上議決されない場合は、衆議院の議決が最終的な結論になります。
予算は最優先のため、法案と違って自動的に参議院は無視され、衆議院が優先されます。
内閣総理大臣の指名(必要的両議院協議会)
衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。
憲法第67条2項
こちらも必ず両議院協議会を開かないといけません。(必要的両議院協議会)
10日以上議決されな場合は、衆議院の議決になります。
内閣総理大臣の指名も国会の最優先事項です。
優先事項まとめ
参議院が議決しない期間 | 両議院協議会 | 衆院の先議権 | |
法律案の議決 | 60日(衆院の出席議員3分の2以上で再議決) | 任意 | なし |
予算 | 30日(衆院の議決で決定) | 必要 | あり |
条約 | 30日(衆院の議決で決定) | 必要 | なし |
総理大臣の指名 | 10日( 衆院の議決で決定 ) | 必要 | なし |
まとめ
基本的には衆議院が優先されることになります。
読んでくれてありがとう!
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