本記事では
行政権について
独立行政委員会について
内閣について
内閣総理大臣の権限について
以上について解説します。
内閣は行政権を担う
行政権とは?
通説では、国家作用から立法権と司法権を除いた残りの作用が行政権であると解されています(控除説、消極的定義)。
非常に明確で、国王から司法権、立法権が離れていった歴史的背景にも一致した説として支持されています。
しかし、行政権の肥大化招くとの批判もあります。
内閣は三権分立の一角を担う
三権分立は権力の暴走を防ぐために、3つの権力を均衡させるという考え方です。
次の条文を見てください。
行政権は、内閣に属する。
日本国憲法第65条
国家の重要な要素のうち、行政権を担っているのが内閣になります。
これは内閣が直接的にあらゆる行政の実施を行うことをいっているわけではありません。
内閣が行政全般において統括する役割にあることを意味しています。
内閣に服しない独立行政委員会
行政権が内閣に属すると65条にある以上、本来は内閣がすべての行政権を掌握している必要があります。
しかし、現実には内閣から独立して職権を行使する行政機関が存在します。
これが独立行政委員会です。
- 人事院
- 公正取引委員会
- 国家公安委員会
- 原子力規制委員会など
行政委員会の合憲性
学説ではおおむね合憲説を取っています。
理由としては
- 「唯一」の立法機関、「すべて」の司法権のような文言が行政権にはついていない。
- 行政作用には、中立性・専門性が必要とされ、政治的要素がなじまない領域がある。
- そもそも内閣から独立していても、国会のコントロールは受けるとされるため。
以上3点が挙げられます。
内閣の組織
内閣の構成
内閣は国務大臣と内閣総理大臣で構成されます。
66条1項を見てください。
内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
第66条第1項
内閣の内容については、内閣法で規定されています。
前項の国務大臣の数は、十四人以内とする。ただし、特別に必要がある場合においては、三人を限度にその数を増加し、十七人以内とすることができる。
内閣法第2条第2項
国務大臣の数は、内閣総理大臣除いて原則14人とし、必要であればプラス3人まで任命できます。
※復興庁がある間は+1、東京五輪まではさらに+1となっています。
行政大臣
国務大臣は、主任の大臣として行政事務を分担管理します。
次の条文を見てください。
各大臣は、別に法律の定めるところにより、主任の大臣として、行政事務を分担管理する。
内閣法第3条第1項
つまり、国務大臣は内閣のメンバーとして仕事をしつつ、割り当てられた省庁のトップとしての仕事もするわけです。
法務大臣であれば法務省、財務大臣であれば財務省の仕事をします。
そういった意味で行政大臣とも呼ばれます。
無任所大臣
内閣法では、行政事務を分担管理しない大臣の存在も認めています。
前項の規定は、行政事務を分担管理しない大臣の存することを妨げるものではない。
内閣法第3条第2項
これを無任所大臣と呼びます。
内閣官房長官や特命担当大臣などが挙げられます。
内閣の構成員としての資格
内閣の構成員としての資格は2点あります。
- 文民であること
- 内閣総理大臣と国務大臣の半分は国会議員であること
シビリアン・コントロール(文民統制)
軍部の暴走を止められなかった明治憲法からの反省で、日本国憲法は議会に責任を負う文民(非軍人)による統制を定めています。
内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。
第66条第2項
これを文民統制、またはシビリアン・コントロールと呼びます。
戦前の日本では、軍部大臣武官制が取られていました。
陸海軍大臣は武官でないといけないため、内閣は軍部に逆らっては組閣ができない状況に追い込まれています。(軍大臣が空席になってしまうから)
内閣総理大臣と国務大臣の半分は国会議員
内閣総理大臣と国務大臣の半分は国会議員でないといけません。
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。
内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
第68条第1項
このためなにかしらの事情で議席を失った場合、内閣総理大臣はその地位を失い、国務大臣はその半分が国会議員になるよう調整する必要があります。
内閣総理大臣
国会議員の中から国会議員の議決で指名され、天皇により任命されます。
この議決には衆議院の優越が認められています。
他のすべての案件に先立って行う
内閣総理大臣の指名は他の案件に先立って行われます。
内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だって、これを行ふ。
第67条第1項
ただし議決を行うために必要な、議長などの役員選挙や議席の決定などはこれより先に行われます。
内閣の首長
内閣総理大臣は内閣の首長です。
明治憲法下では同輩中の首席でしたが、日本国憲法では首長として強い権限が与えられています。
第66条内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。
第66条1項
国務大臣の任免権
内閣総理大臣は、国務大臣を任命し、また任意に罷免することができます。
次の条文を見てください。
1 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。
2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
第68条
罷免とは辞めさせることです。
これには国会の要請も、閣議にかける必要もなく、内閣総理大臣の気持ち1つで決めることができます。
国務大臣に対する訴追同意権
国務大臣は在任中、内閣総理大臣の同意なしでは訴追されません。
国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。
第75条
この訴追というのは、検察官が行う公訴だけでなく、逮捕や勾留などの身体的拘束を意味します。
読んでくれてありがとう!
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