【判例】マクリーン事件をわかりやすく解説!(外国人の人権)

本記事はマクリーン事件について解説してます。

外国人の人権は権利の性質上、日本国民にのみ認められるべき条項を除いて認められる(性質説)
入国の自由はそもそも保障されていない
在留の自由も保障されない

目次
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事件の経緯

在留期間更新が認められなかった

アメリカ人のX(マクリーンさん)は英語教師として、1年の在留資格を得て日本に入国しました。

Xは、日本での生活の中で古典音楽に興味を持ち、琵琶や琴を学び始めます。
そのような背景があり、古典音楽の研究を続けたいという気持ちから、Xはさらに1年の残留期間の更新を申請しました。

しかし、法務省入国管理局はそれを認めませんでした。
理由は無断でした転職でした。

納得のいかないXは、在留期間更新不許可処分の取消しを求める行政訴訟、不許可処分の効力停止を申し立てます。

これに対して法務大臣は、不許可の理由として、無断の転職に加え、政治活動への参加を上げたのです。(ベトナム戦争反対デモなど)

争点

外国人に在留する権利、引き続き在留を要求する権利を憲法は保障しているか
在留に関する法務大臣の裁量
在留外国人の政治活動の自由

結論

法務大臣による不許可処分は適法

最高裁は、
外国人に対する憲法の基本的人権の保障は外国人在留制度の枠内で与えられているに過ぎないとし、憲法の基本的人権の保障を受ける行為あっても、更新に当たって消極的な判断をされないことまでは保障されないとし、法務大臣による不許可処分は適法しました。

外国人に入国の自由は認められない

憲法22条1項は、あくまで国内における、居住・移転の自由を保障するものです。

憲法上、外国人に入国する自由は保障されていません。

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

第22条1項

在留の権利、引き続き在留することを要求する権利もない

最高裁は、22条1項が入国の自由だけでなく、在留の権利、引き続き在留することを要求し得る権利を保障しているものでもないとしました。

在留期間の更新の許否は法務大臣の裁量で行うべき

また、在留期間の更新の許否は、出入国管理行政の責任を負う法務大臣の裁量に任せるべきとしました。

裁判所は判断の基礎やその合理性を審理する

また、裁判所は、法務大臣の下した判断に対して、その判断が誤った事実に基づいていないか、判断自体が明白に合理性に欠き、社会通念上に照らし妥当性を欠いていないかを審理するとしました。

その結果、判断が裁量権の範囲を超えるもの、また濫用とあったとして違法だとできるとしました。

性質上可能な限り外国人にも基本的人権が認められる

裁判所は

基本的人権の保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国に在留する外国人に対しても等しく及ぶものと解すべきであり、わが国の政治的意思決定又はその実施に影響を及ぼす活動等外国人の地位にかんがみこれを認めることが相当でないと解されるものをのぞき、その保障に及ぶものとするのが、相当である

マクリーン事件

としました。

外国人の基本的人権は、権利の性質上、日本国民にのみ認められるべき条項を除いて、認められるとしたのです。(性質説)

ごり子

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