本記事では
居住移転の自由とは
職業選択の自由
営業の自由
規制目的二分論について
二重の基準
外国移住、国籍離脱の自由について
以上に関して解説します。
居住・移転の自由とは?
経済的自由権
憲法22条1項は、居住・移転、職業選択の自由を、2項では外国に移住、国籍を離脱する自由を保障しています。
経済活動に関わることから、経済的自由権と呼ばれます。
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
日本国憲法第22条
2何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない
土地に縛られずに働けるということで経済的自由権に分類されるよ。
拘束されないという意味では人身の自由、広く知見を集められるという意味では精神的自由権というように、いろいろな性格を持ちます。
何を保障しているの?
自分の住む場所を自由に決められ、基本的には国家からの干渉を受けません。
また旅行の自由も同時に保障されるとされます。
制限される場合
刑務所や夫婦の同居義務(民法752条)や破産者の居住制限などがあります。
職業選択の自由とは?
憲法が保障するのは、選ぶ自由と遂行する自由だよ。
何を保障しているの?
職業選択の自由と営業の自由を保障しているとされます。
保障というのは、国家から干渉されないという意味と同じだよ。
職業選択の自由( 職業遂行の自由 )
22条1項では、自分が働く職を自分で決める自由が保障されています。
もちろん、続けることも、やめることも自由として保障されます。
営業の自由
選んでもいいけど、営業は禁止されるとなれば、それは真の自由とはいえません。
判例では、営利目的のために職業を営み、継続する自由(営業の自由)が認められています。
選択する自由と継続し利益を得る自由というように分けられるけど
選んでもいいけど、営業できないという状況に選ぶ自由はないよね。
だから1項の延長に営業の自由も保障されるとしてるよ。
無理に区別する必要はないね。
権利の限界
経済的自由権は精神的自由権に比べて強い制限でも合憲となる場合があるよ。
無制限な職業活動を認めてしまっては、安全や秩序を守れなくなってしまうからかな。
警察目的と政策目的規制
資格制度であったり、中小企業や農家の保護政策のような規制があります。
規制の目的面から、警察目的規制と政策目的規制の2つに大きく分けられます
目的二分論とは?
経済的自由権に対する規制で用いられる、目的によって違憲審査基準を変える手法です。
警察目的規制(消極目的規制)
自由な経済活動が社会に弊害をもたらす場合があります。
その弊害を防止・取り除くことを目的とした規制です。
食や医薬品の安全を維持する規制などがそれにあたります。
政策的規制(積極目的規制)
経済的弱者の保護や、競争の過激化を防ぐ調整的規制などがあたります。
日本国憲法が社会福祉国家理想に立っていることに基づいています。
国家の働きを安全保障や治安維持だけ限定せずに、国民生活の安定にまで広げた国家だよ。
一般的には社会保障制度などがある程度整備された国家をいうね。
具体的規制
禁止
管理売春など、反社会性が強いものは国家により一切禁止されます。
独占
公益上の理由から、国家に独占的営業が認められるものがあります。
旧たばこ事業や旧郵便事業などがありました。
特許
インフラ事業や鉄道などの運送業のように、国民生活に必須なものはで地域独占を認めるものがあります。
許可
法令により一般的に規制した上で、要件を満たしたものだけを解除する行政行為をいいます。
資格制
試験などにより付与される資格を、職務参加の要件とするものです。
届出制
許可とは違い、ある事業を行うものに一定事項の通知を求めるものです。
規制の合憲性判定基準とは?
規制が合憲か違憲か判断する基準がいくつかあるよ。
もちろんこれが絶対というものはなくて判例にもよってくるよ。
二重の基準論
経済的自由権を規制する立法の合憲性は、精神的自由権に比べて緩やかに判断するべきとしたものです。
職業選択の自由の場合には「合理性の基準」が妥当だとしています。
合理性の基準とは?
その立法目的、目的達成手段の両方で、一般人基準から著しく不合理でない限りは合憲とする 基準です。
規制目的二分論
小売市場事件判決で用いられた方法です。
消極、積極的規制で分けて考えるというものです。
消極目的規制の場合
その規制に必要性や合理性があるかどうか、もっと緩やかな規制で同じ目的を達成できないかどうか、これを裁判所が審査する厳格な合理性の基準を用いるべきとしています。
積極目的規制の場合
その規制が著しく不合理であることが明白である場合に限って違憲とする明白の原則の基準を用いるべきとしています。
政策、経済的な判断のような政治決定を尊重すべきものに比べ、消極的目的のように生命にかかわる内容の方が、裁判所での判断が前者より容易だから。
外国移住・国籍離脱の自由
外国への移住は、国籍離脱を伴うことがありえるため、一緒にされていると考えられているよ。
外国に移住とは?
一般的には長期間国外で生活することを指しますが、判例通説では外国旅行の自由も含むとされます。
国籍離脱の自由とは?
自由に国籍を変えることが認められます。
もちろん、無国籍は認められません。
パスポートの発券拒否は合憲
外務大臣は相当な理由のある者のパスポートの発券を拒否することができます。
帆足計事件ではこの違憲性が争われましたが、合憲と判断されています。
まとめ
- 職業選択の自由の規制は精神的自由権に比べて緩やか
- 規制二分論では、消極目的、積極目的で基準が分かれる
- 外国移住の自由には外国旅行の自由も含まれる
- 無国籍は許されない
読んでくれてありがとう!
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