謝罪広告をめぐって思想良心の自由が争われた事件です。
最高裁で信条説に立った意見がでましたが、最終的には明確に判断を示すことなく合憲判決がだされました。
信条説は、人格形成に役立つことに限っているんだったよね。
事件の経緯
衆議院議員総選挙にXは立候補します。
Xは選挙運動中、ラジオや新聞を使い、対立候補のYに対し、県副知事在職中に汚職をしていたという趣旨のネガティブキャンペーンを張っていました。
これにYは事実無根だとして、裁判所に訴えを提起します。
裁判所は汚職の事実がないことから、民法723条の「名誉を回復する適当なる処分」として、Xに謝罪広告を公表することを命じました。
そこで、Xは、謝罪を強制することは、思想良心の自由の保障に反するとして判決の合憲性を争うことを決めます。
争点
裁判所が、名誉棄損の加害者に対して、謝罪広告の掲載を強制することは思想良心の自由を侵害するかどうか。
結論
最高裁は、裁判所が謝罪広告の掲載を強制させることは、その人の人格を無視し著しくその名誉を棄損し、意思決定ないし良心の自由を不当に制限するものだと認めました。
しかし、単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するにとどまる程度のものであるなら、強制したとしても19条に違反とはいえないとしました。
今回の謝罪広告に関しても、Xの倫理的な意思、良心の自由を侵害することを要求するものとはいえないと結論づけられています。
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