本件は
裁判所に勤める判事補が政治的行為をした
これが裁判所法が禁じる「積極的政治行為」にあたるとされた
一律に禁じることは違憲では?
最高裁は合憲判決
以上のような判例です。
事件の経緯
判事補が政治的発言
当時、X(寺西氏)は仙台地裁の判事補でした。
Xは、その取扱いが政治的問題となっていた組織的犯罪対策法案(通信傍受に関する法案)を廃案に追い込むことを目的とする運動の一環として開かれた集会に参加します。
パネルディスカッションに参加する予定でしたが、参加を止め、会場の一般参加者席につくことに。
しかしXは、結局、自信が裁判官であることを明らかにして
「当初、この集会において、盗聴法と令状主義というテーマのシンポジウムにパネリストとして参加する予定であったが、事前に所長から集会に参加すれば懲戒処分もあり得るとの警告を受けたことから、パネリストとしての参加は取りやめた。自分としては、仮に法案に反対の立場で発言しても、裁判所法に定める積極的な政治運動に当たるとは考えないが、パネリストとしての発言は辞退する。」
という趣旨の発言をしてしまいます。
この発言が積極的政治運動にあたるとし、裁判所法52条1号に違反する行為にあたると判断されXは戒告処分に。
Xはこれを不服とし、最高裁に抗告しました。
裁判官は、在任中、 左の行為をすることができない。
裁判所法52条
一 国会若しくは地方公共団体の議会の議員となり、又は積極的に政治運動をすること。
二 最高裁判所の許可のある場合を除いて、報酬のある他の職務に従事すること。
三 商業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。
争点
結論
- 裁判所法52条1号は憲法21条に反しない
- 「積極的に政治運動をすること」の禁止は、裁判官の独立及び中立・公正を害する恐れのある行為を禁止している
三権分立を担う司法権
中立性を確保するため
裁判所法五二条一号が裁判官に対し「積極的に政治運動をすること」を禁止しているのは、裁判官の独立及び中立・公正を確保し、裁判に対する国民の信頼を維持するとともに、三権分立主義の下における司法と立法、行政とのあるべき関係を規律することにその目的があるものと解される。
寺西判事補事件
「積極的に政治運動をすること」 とは独立及び中立・公正を害するおそれがあるものを指す
「積極的に政治運動をすること」とは、組織的、計画的又は継続的な政治上の活動を能動的に行う行為であって、裁判官の独立及び中立・公正を害するおそれがあるものが、これに該当すると解され、具体的行為の該当性を判断するに当たっては、その行為の内容、その行為の行われるに至った経緯、行われた場所等の客観的な事情のほか、その行為をした裁判官の意図等の主観的な事情をも総合的に考慮して決するのが相当である。
寺西判事補事件
21条1項に違反するものではない
その目的と禁止との間に合理的関連性があり、禁止により得られる利益と失われる利益との均衡を失するものでないなら、憲法二一条一項に違反しないというべきである。
寺西判事補事件
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