【政教分離原則】津地鎮祭事件(つじちんさい)をわかりやすく解説!

ごり

津地鎮祭事件ってどんな判例?


「津地鎮祭訴訟事件」は三重県津市で市立体育館建設の際に行われた地鎮祭をめぐり、その公金の支出が日本国憲法第20条・89条に反するのではないかと争われた事件です。

詳しく見ていきましょう。

結論、目的が世俗的で、効果も神道を援助、助長したり、他の宗教に圧迫、干渉を与えるものではないから、宗教的行事とはいえず、政教分離原則には違反しないとされました。

目次

事件の経緯

地鎮祭(じちんさい、とこしずめのまつり)とは?

工事着工前の儀式です。
家を建てる前にやるようなやつです。

なぜやるの?

地鎮祭には2つの意味があるそうです。

  • 1つ目は、その土地に住むとされる神様を鎮め、土地を使うことへの許可をもらうため。
  • 2つ目は、工事の安全と、家の繁栄を祈願するため。

神式と仏式などいくつかのパターンがあります。

地鎮祭は宗教行為か?公的機関が行うことの是非が問われた

三重県の津市で新しい体育館の建設計画が進められていました。
市は建物を建てる前にはお祓いが必要と考え、神社に地鎮祭をお願いします。

建設の起工式当日、市の職員が式典の進行係となり、神社の宮司が神式に則って地鎮祭を行いました。(ちょっとしたイベントみたいに)


市長は神社に対して公金から挙式費用金7,663円(神職に対する報償費金4000円、供物料金3663円)を支払います。

しかし、この支出に、ある津市議会議員が「政教分離原則に違反するのでは?」と疑問を投げかけます。

議院は地方自治法第242条の2(住民訴訟)に基づき、損害補填を求めて出訴します。


一審で原告の請求棄却。
二審では原告勝訴。

最終判断は最高裁へと持ち込まれました。

争点

日本国憲法には政教分離に関して以下の規定があります。

いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

憲法20条3項

公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

憲法89条

今回の支出は、上記の規定に違反する行為ではないかと争われました。

結論

最高裁は2審の違憲判決を覆し、政教分離原則違反する行為ではないと判断

また最高裁は

政教分離原則の性格が制度的保障
②国と宗教の分離の程度は相対的
③その判断は目的効果基準で決める

ともしました。

人権侵害→🛡制度:人権

ごり子

制度的保障とは、制度(立法)を作ることで間接的に人権を守るというもの。
人権侵害からの盾になる制度みたいな感じだよ。

ごり

国が特定の宗教をエコひいきしないことは、信教の自由を守っていることにつながるね!

高裁・最高裁で「政教分離原則」への意見が分かれた!

最高裁と高裁で、「政教分離原則」をどう捉えるか意見が分かれました。
両者とも「制度的保障」であることは認めつつも

高裁は広く認めた

「信教の自由は政教の分離なくして完全に確保することは不可能」

禁止される「宗教活動」の範囲を広く設定した!

最高裁はほどほどに認めた

「国家と宗教との分離を制度として保証することにより、間接的に信教の自由を保障を確保しようとするもの」


信教の自由とは区別!
政教分離には一定の限界あり!
禁止される「宗教活動」を限定的に解釈、相対的なものとした。

相当な限度を超えるものが禁止される

最高裁は禁止される「宗教活動」を「相当とされる限度を超えるもの」としました。


つまり

  • 行為の目的が宗教的意義を持つ
  • その効果がその宗教を援助、助長促進する
  • もしくは他の宗教を圧迫、干渉する

上記のような行為を禁止しているとしました。

判断は形式にはとらわれない

ではどう判断するのか?
最高裁は以下のように説明。

主宰者や、式自体の外面的な形式で決めるのではなく(宗教者主宰、宗教的な形式だからダメとはならない)

  • 行為の場所
  • 一般人から見た宗教的評価
  • 行為者の意図
  • 宗教的目的かどうか
  • 宗教的意識があるか
  • 一般人への影響

などなど諸事情を考量して、社会通念したがって客観的に判断するとしました。

ごり子

前項の説明を合わせて、このような考え方を目的効果基準というよ。

津地鎮祭は禁止される「宗教的行為」ではない

最高裁は、本事件での神式の地鎮祭は、目的も世俗的で、効果も神道を援助している訳でもない。

また、他の宗教を圧迫しているものでもないので、宗教的行事とはいえず、政教分離原則に違反しないとしました。

とはいえ、5名の裁判官はこれとは反対の意見を表明しました。
もっと厳格にするべきと。

ごり子

読んでくれてありがとう!

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • 異常すぎる正義
    「適正,公平な社会のためには、虚偽は到底必要である」と判決を受けて敗訴しました。
       どうやって生きれば良いですか

    私は、虚偽事由で侮辱されて提訴され、敗訴し、様々なものを失いました。
    これを提訴したところ、「適正,公平な裁判のためには、裁判では虚偽は必要である」として敗訴しました。(本人訴訟)

    弁護士会と日弁連は、当弁護士に対し、「噓をつくことは正当な弁護士行為」と議決して懲戒処分せずに、直後に当弁護士を会長・日弁連役職に就任させており、原告が提訴した時には、「当行為を処分しないからといって、原告(国民)に損害を与えていない」と主張しては、再び争いました。
    裁判官たちは、権利の濫用を許し、当理由で原告敗訴としました。

    国家賠償訴訟(福井地方裁判所.平成24年ワ第159号)を提起したところ、 国は「争う」とし、「適正,公平な裁判のためには、裁判では虚偽は到底必要である」と判決して、原告敗訴としました。
     裁判官に深々と頭を下げて喜ぶ国家公務員の方々の姿がありました。
     (控訴 名古屋高等裁判所.金沢支部.平成24年(ネ)第267号で敗訴確定)

    その後に刑事告発したところ、詐欺罪として受理されました。(時効で不起訴)

    近年、再審請求しました。
    再審請求では当然に憲法違反を訴えたのですが、再び「憲法違反の記載がない」の決定を受けました。(第一小法廷)(日弁連経歴者所属)

    絶望と恐怖があるのみです。
    日本は、法による支配(人権擁護)していますか?

     さて近年、元裁判官の樋口英明氏は、過去の立派な行動(?)を講演し、ドキュメンタリー映画をも作成したと聞きましたが、 当事件において、詐欺加害者に加担するかのように、「適正,公平な裁判のためには、裁判では虚偽は到底必要である」と法を無視して言い渡したのは、樋口英明 です。
    あなたは、詐欺被害で苦しむ人々に対して、このような卑劣な判決を言い渡して来たのですか?
     この樋口英明を「正義の人」扱いするのは、妥当ですか。

    この判決と原発訴訟の判決の(人間)関係を知っていますか。
    この判決の後に原発訴訟の判決をしましたが、そこには共通する人物がいました。
    定年後は、承知の通り、この原発判決を執筆等し名声を得るに至っています。
    樋口英明は、当初よりこの定年後の構想を描いており、原発訴訟団の弁護士たちには、あとくされなく勝訴する(させる)
    ことを望んでいたと思われます。

    しかし、その前に目ざわりともいうべき国家賠償訴訟(福井地方裁判所.平成24年ワ第159号)が提起されたのです。
     その原審の訴訟詐欺の被告とは、弁護士のTとM等であり、一方の原発訴訟の訴状を書いた弁護士もその弁護士T等だったからです。
    定年後を夢みる樋口英明は、当然「虚偽事実を主張して裁判所をだまし、本来ありうべからざる内容の確定判決を取得した」と批難すべきところ、逆に「適正,公平な裁判のためには、裁判では虚偽は到底必要である」と ありうべからざる判決を言い渡したのです。

    それでも現在、樋口英明は国民を欺いて 立派な人間として活動しています。

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