本記事では
- 外国人の人権について
- 性質説
- 各人権での対応の違い
以上について解説しています。
外国人と人権
権利の性質上可能な限り認められる
判例では、外国人(日本国籍を持たない人)が日本人と同じように人権の享有主体になることが認められています。
もちろん法人と同じく「権利の性質上可能な限り」保障されます。
判例・通説では、権利の性質上日本国のみを対象にしているもの以外が、外国人に保障されるとしています。
これを性質説と呼びます。
憲法で「何人も」と書いて規定されていれば、外国人にも保障され
「国民は」と規定さている人権は保障されないとする文言説というものもあるよ。
非常にわかりやすいけど、これには国籍離脱の自由のように明らかに矛盾してる点があるよ
2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第22条2項
権利の性質によって変わる
参政権は?
判例・通説上では国民にのみ認められるものとしています。
ただし判例では、国政レベルの選挙権を法律で外国人に与えることは許されませんが、地方自治体レベルでの選挙権であれば、定住外国人に与えることまでは憲法上禁止ではないとしています。
定住外国人に法律を作って地方選挙権を与えることは禁止ではないんだよね。
公務員になる権利(公務就任権)に関しても、外国人の採用が広まってるよ。
でも判例では、公務員の採用条件に国籍条項があっても憲法違反ではないとしてるよ
社会権は?
従来、外国人は保障されてはいませんでしたが、近年は法律で保障することを禁止はしてないとしています。
立法府の裁量次第が現状です。
福祉政策において、日本人を外国人より優遇しても、憲法違反にはならないのが現状だよ
出入国の自由は?
出国の自由は認められていますが、入国の自由は保障されていません。
また、在留する権利、在留を継続権利も保障されてはいません。
入る自由×
留まる自由×
出ていく自由〇
出てから戻る自由×
政治活動の自由
認めるべきでないもの以外は保証されます。
マクリーン事件
【事案】
アメリカ人のマクリーンさんが在留期間更新の申請をしたところ、法務大臣は、日本に在留中に行った政治活動(ベトナム反戦、安保反対の集会参加)や無届の転職を理由に不許可処分を行ったため、処分の取り消しを求めた。
【争点】
①外国人の在留する権利、引き続き在留を要求できる権利。憲法による保証。
②法務大臣の裁量権。
【結論】
①憲法22条1項は、外国人に入国する自由を保障するものではなく、また在留の権利、引き続き在留することを要求できる権利を保障していない。
②出入国管理行政の責任を負う法務大臣の裁量に任せないことでは、適切な結果を期待することができない。
政治活動の自由は、これを認めることが相当でないと考えるものを除いて、外国人にも保障される。
しかし、その行為が在留期間更新の際に消極的な事情として見られないことまでは保障されない。
マクリーンさんの請求は棄却されました。
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
第22条
この判決は、政治活動してもいいけど
その結果在留できなくなっても仕方ないとしてるよね。
やっていいけど、どうなっても知らないというのは、政治活動を委縮させかねないと批判されているよ
まとめ
- 判例・通説は性質説
- 外国人への人権の保障は裁量によるところが大きい
- マクリーン事件
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