【判例】堀木訴訟をわかりやすく解説!(生存権)

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本記事は堀木訴訟について解説しています。

  • 障害者年金と児童手当の併給の禁止は憲法に違反しない
  • 健康で文化的な最低限度の生活の保障は国家の義務ではない
  • 差別ではなく合理的な区別
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事件の経緯

給付金の併用を求めた!

Xは、全盲の視力障害者で、1970年当時の国民年金法に基づく障害福祉年金を受給していました。

当時、Xには内縁の夫との間に男子がおり、夫との離別後は、彼女が独りで養育していました。


Xは母子世帯であることから、児童扶養手当も受給できるはずと考えます。
兵庫県知事に対して、児童扶養手当の受給資格の認定の申請をすることに。

しかし、これに知事は請求を却下する旨の処分を下します。
原因は、Xが障害福祉年金を受給していたためでした。
そのため児童扶養手当法4条3項3号の「併給調整条項」に該当し、受給資格がなかったのです。

Xは納得がいかず、異議申立をしますがこれも棄却されます。
そこでXは、上記規定が憲法第25条に違反するとして、処分の取消し手当受給資格の認定の義務付けを求めてを提訴しました。

ごり子
ごり子

児童扶養手当の実質的権利者は子供であるはずなのに、親は原因で受給対象でなくなるのは不合理だってことだね。

争点

併給調整条項は、25条(生存権)、14条(法の下の平等)に違反しないか?

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

憲法第14条

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

第25条

結論

併給調整条項は25条にも、14条にも違反しない

併給調整するかどうかは、立法府の裁量の問題であるとし、それにより給付が低額になったからといって、当然に25条違反になるとはいえないとしました。
給付資格に区別を設けることは、合理的理由のない不当な差別とはいえず、憲法14条にも反しないとしました。

25条は国家の義務ではなく、責務の宣言

最高裁は、
憲法第25条は、いわゆる福祉国家の理念に基いて、健康で文化的な最低限度の生活をかなえるような国政を運営するべきことを国の責務として宣言したものだとしました。

つまり、具体的にそのような生活を実現する義務が国家にあるわけではないとしたのです。

25条の趣旨に応えてどのような措置を取るかは立法の裁量しだい

「健康で文化的な最低限度の生活」はきわめて抽象的です。
時代や文化、社会構造によってその基準は変わるでしょう。

また国家財政を無視しては成り立ちません。
そのため「憲法25条の規定の趣旨にこたえて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定は、立法府の広い裁量にゆだねられており、それが著しく合理性を欠き明らかに裁量の逸脱・濫用と見ざるをえないような場合を除き、裁判所が審査判断するのに適しない事柄であるといわなければならない。

このように、プログラム規定説によった朝日訴訟を踏襲しています。

おわりに

2020年現在でもまだ併給はできません
ただし、障害者年金受給者にも児童扶養手当が受けられるような改正案が国会に提出されるようです。

感情的に考えれば、全盲かつ一人で子供を育てる母親に対して、給付しない理由があるとは思えませんが、そういった気持ちはいったんおいて、判例は勉強するものですよね。

ごり丸
ごり丸

おわり

 

 

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