昭和44年4月2日最高裁
今回は公務員の労働基本権が問われた、東京都教職員組合事件を解説します!
公務員がストライキをあおった!
そもそも公務員が争議行為を禁止されているのって違憲では?
法律を合憲となるように限定して解釈(合憲限定解釈)
あおり行為自体の違法性は否定できないけど、刑事罰ほどではないから無罪!
事件の概要
公務員がストライキをあおった?
Xは東京都教育組合(都教組)の幹部でした。(地方公務員にあたる)
Xたち都教組幹部は、東京都教育委員長が教育委員会で会議にかけようとしていた勤務評定規則案(教員の規則)に反対の立場をとっていました。
Xらは行動を起こして、規則に反対しようと考えます。
組合員(都の教職員)に向け、一斉に休暇申請(有給)をせよと指令が出されました。
組合員約2万4千人あまりが一斉に休暇申請を提出。
本格的な規則案反対運動が打ち出されます。
そこで、Xらの行いは、地方公務員法61条4号の争議行為のあおり行為に該当するとされ起訴されます。
一審は無罪、二審は有罪判決を下され、Xらは上告へ。
争点
- そもそも公務員の争議行為を禁じた地方公務員法37条
- そのあおり行為を禁じた61条4号は憲法違反ではないか?
職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。
地方公務員法37条1項
64条 左の各号の一に該当する者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
61条4号
…..4 何人たるを問わず、第三十七条第一項前段に規定する違法な行為の遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおり、又はこれらの行為を企てた者、….
判決
Xたちは無罪!
文字どおり受け取ると違憲の疑いがあるけど
最高裁は問題とされた条文について、文字どおり解釈すると違憲の疑いがあることを認めつつも、
法律は、可能な限り、憲法の精神にそくして、合理的に解釈するべきなので、ただちに違憲とすることはできないとしました。
合憲限定解釈を取った!
最高裁は、本条文を合憲とするために、合憲限定解釈をとりました。
つまり、法文の意味を憲法に適合するように限定して解釈をするという手法を取ったのです。
処罰の対象となる行為は、争議行為・あおり行為ともに違法性の強い場合にかぎるとしました。
ようするに違憲にしたくないから、やりすぎな行為以外は処罰の対象にならないってことね。
全部禁止は違憲になっちゃうんだね。
これを「二重のしぼり」の限定と呼ぶよ。
⇨あおり行為 | ||
---|---|---|
⇩争議行為 | 違法性弱 | 強 |
違法性弱 | セーフ | セーフ |
強 | セーフ | アウト |
無罪判決
違法性を否定できないとしつつも、刑事罰を与えるほどではないとし、無罪判決がなされました。
おわり
ちなみに、この後起こる全農林警職法事件では合憲限定解釈が否定されたよ。
読んでくれてありがとう!
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