【憲法9条】平和主義とは?戦争の放棄をわかりやすく解説!

本記事では

  • 平和主義とは?
  • 戦争の放棄とは?
  • 自衛権について

以上について解説しています。

目次

平和主義とは?

ごり

平和主義?

ごり子

日本国憲法の基本原則は「国民主権」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」の3つ。
平和主義はその中でも、戦争をしないことへの宣言という意味をもつよ。

平和主義の内容

日本国憲法最大の特徴の一つに第9条に書かれた「平和主義」があります。

  1. 戦争をしない
  2. 武力を持たない
  3. 交戦権を否定

戦争の放棄ともいいます。
非常に厳しい軍事・戦争に関するルールで、平和への決意を世界に向けて宣言しています。

ごり子

侵略戦争禁止のフランスや常備軍禁止のコスタリカのような憲法はあるけど、日本ほど厳しく決めたものはないよ。

9条の中身

1項の目的は?

国際的な争いを解決するために戦争したり、軍事力を交渉に使わないことを宣言しています。
次の条文を見てください。

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

日本国憲法第9条1項

国権の発動たる戦争とは?

単純に戦争のことです。

武力による威嚇

言うこと聞かないと撃つぞ、みたいな脅し
つまり武力を背景にした外交です。
世界史では「棍棒外交」「砲艦外交」のように習ったりします。

武力の行使

戦争以外の紛争のことです。
宣戦布告のない(満州事変みたいな)、形式的には違っても実質的な戦争を表しています。

国際紛争を解決する手段としての紛争

通常は侵略戦争を意味しています。
侵略戦争は自分から始める戦争と思って下さい。

2項の目的

1項では戦争、軍事行為をしないと宣言しています。
2項では、陸海空軍などの軍隊を一切持たないことを宣言します。

交戦権(戦争をする時に認められる権利)も否定しています。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

第9条2項
ごり子

政府見解では「戦力」を必要最小限度を超える実力としてるよ。
また侵略戦争だけを放棄しているとして、自衛のための戦力はOKとする説もあるけど、侵略用と自衛用の戦力の区別があいまいだと批判されてるね。

広告

自衛隊と憲法第9条

前身である警察予備隊の頃からの争い

自衛隊はもともと警察予備隊という、警察の例外組織のような形で設立されました。
設立当時から、反対運動や訴訟が繰り返されています。

しかし最高裁は、国の私法行為に対しては憲法は効力を持たないと判断するだけで、問題に向き合ってきませんでした。

抽象的違憲審査制を否定することで判断から逃れた

警察予備隊違憲訴訟(1952)は、当時野党の代表であった原告が、警察予備隊に関する一切の行為は違憲であり無効であると訴えた事件です。

最高裁この時の判決で、抽象的違憲審査制を否定し、明確な判断を下すことを避けました。(訴訟要件にそもそも満たしていないからとして)
9条には一切触れずに処理されたのです。

ごり子

抽象的違憲審査制は、違憲かどうかを判断する専門の裁判所を置く制度だね。
日本がとる付随的違憲審査制は、具体的な訴訟の中で憲法問題があれば、違憲か審査できるというものだったよね

ごり

ようするに違憲かどうかを確認するだけの裁判はできないってことね

長沼事件の第1審では違憲判決がでた

長沼事件の第1審では、他の判決と一線を画す初の違憲判決がました。

札幌地裁は、紛争の根本解決のため必要ならば、国会行為の憲法適合性を審理判断する義務があるとし、自衛隊を9条2項が禁じる「戦力」に該当するとの判断を下します。

最高裁では統治行為論により回避

一見極めて明白に違憲、違法と認められるものでない限り、司法審査の対象ではない。
憲法問題はいったん置いて、紛争の解決を図る手法がとられます。

高度な政治性を持つ問題には、専門的な知識が必要であって、裁判所が判断するのはそぐわないということです。

高度の政治性があるため判断できないことを統治行為論とか政治問題と呼びます。

自衛戦争は可能か?

攻められたなら仕方ないので可能だとされます。
政府見解も自衛権までは放棄していないとしています。

しかし、自衛のためであっても先に攻撃することはできません。
あくまでも日本は専守防衛、ひたすら守りに徹っする防衛が原則です。

アメリカがイラン戦争を防衛戦争といって始めたことの逆ですね。

ごり子

どんな戦争であっても国際紛争の解決する手段として行われているため、侵略戦争・自衛戦争ともに放棄しているとする有力説もあるよ。

広告

在日アメリカ軍は9条に違反していない?

日本にはアメリカ軍が日米安保条約(安保条約)によって駐留していますよね。
アメリカ軍が戦力かどうかが争われた判例があります。

この判決でも統治行為論が用いられました。

砂川事件(最判昭34.12.16)

【事案】
米軍基地に抗議運動していた人が侵入し、起訴された。
【争点】
①9条は自衛権を放棄しているか。
②アメリカ軍の駐留は違憲か。
【結論】
①憲法の平和主義とは、無防備、無抵抗を定めているわけではないので、主権国として当たり前にもつ自衛権までは否定していない。
②9条の戦力とは、日本国が主体となって指揮権・管理権が使える戦力のことなので
外国の軍隊が日本に駐留しても違憲とはならない。
安保条約は、高度の政治性を有するものなので、一見極めて明白に憲法に違反し無効であると認められない限り、司法審査の対象外となる。

まとめ

  1. 日本は憲法で戦争を放棄
  2. 軍隊もなし
  3. でも自衛権は捨ててない
  4. 自衛隊は戦力じゃなくて最小限度の実力
  5. 在日アメリカ軍は違憲じゃない
  6. 政治的な問題は、どう見ても違憲でない時以外は司法で判断しない(統治行為論)

→次の基本的人権の享有とは?人権の基礎をわかりやすく解説!に進む
←前の天皇と象徴とは?象徴天皇制をわかりやすく解説!に戻る

★憲法入門の目次に戻る
★公務員試験対策の目次に戻る

広告

コメント

コメント一覧 (16件)

コメントする

目次